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プレスリリース:サイバー創研、 「6G関連特許の出願動向を分析」 〜6G中核技術の技術開発の進捗度合いと主要企業の勢力を可視化〜

モバイル・ワイヤレスをはじめとしたICT技術の総合的調査を⾏う株式会社サイバー創研(本社:東京都品川区、代表取締役社⻑:佐藤博彦)は、本格導入が進む5Gの次の標準と考えられている6G技術について、ITU-TやIEEEなどの標準化団体や、総務省やNICTなどの主管庁等、NTTドコモ、Ericsson、Samsungなどの主要企業のホワイトペーパーが掲げている情報から、中核と考えられる9項目の技術を選定し、6Gに向けた技術開発の進み具合や、主要企業の開発動向について、特許出願動向を基に評価・分析を行いました。

具体的な調査対象は、6Gネットワークを構成する新技術の衛星統合通信や全光通信などに加え、無線通信の要になるMIMO・ビームフォーミングや、ネットワークの柔軟性や多様性を高めるAI技術、6Gならではのサービスが期待されるリアリティ技術などで、これらの特許出願動向を分析しました。

その結果、下記の状況が分析できました。

  1. ハードウェア系技術は中国が、ソフトウェア系技術は米国が注力して出願
  2. MIMO・ビームフォーミング、衛星統合通信では、既に特定企業の特許シェアが高い
  3. 日本は、テラヘルツ波、全光通信、MIMO・ビームフォーミングに力をいれている
  4. 日本企業では、NTT(NTTドコモを含む)、ソニー、三菱電機、キャノンが既に動き始めている

 

【本調査のポイント】

(1)調査方法:対象となる6G中核技術等

今回の調査報告では、国際標準化団体や5G主要企業の6G(Beyond 5G)に関するホワイトぺーペーパーから、6Gの中核と考えられる技術を選定し、当該技術に対する特許出願動向を分析しました。

6G中核技術としては、3つの分野、6Gで新たなネットワーク構成要素と位置付けられる6G構成要素技術分野、送受信の役割を担う6G無線統合技術分野、及び6Gネットワークをよりユーザフレンドリーにする6G高度化技術分野に大別しました。6G構成要素技術分野には、テラヘルツ波、衛星統合通信、全光通信、量子暗号・通信、時空間同期、エッジコンピューティング技術を、6G無線統合技術分野には、MIMO・ビームフォーミング技術、6G高度化技術分野には、AI技術、xR技術を加え、合計9項目の技術を対象としました。調査対象とした6G中核技術の概要を表1に示します。

調査対象特許は、最初に発行された6Gホワイトペーパー(2019年)より2年前の2017年以降に出願された特許出願および実用新案登録を含む、特許ファミリー[1]としています。

抽出した特許ファミリー件数は、約5万8千件になります。

分析対象とした特許ファミリーは、標準化を目指す特許出願が多く含まれていると思われることから、企業が出願した特許ファミリー約2万件を対象としています。

9項目の技術個々の特許ファミリー件数は、少ないテラヘルツ波でも1,000件以上、多いエッジコンピューティングで5,000件以上となっています。

[1] 特許ファミリーとは、特許の優先権を利用して複数の国・地域へ出願している出願群のこと。例えば、同じ発明を複数の国へ出願した場合は1つの特許ファミリーと扱う。

表1 調査対象の6G中核技術

分野 調査対象技術 技術概要
6G
構成
要素
技術
テラヘルツ波 5Gで用いられているミリ波より高周波数帯の電波を用いることで、更に高速・広帯域を実現する技術である。基盤となる技術は、測定分野などの他の産業領域で既に活用されており、これらの技術を6Gに適用することで、更なる高周波数帯への拡張を目指している。
衛星統合通信 衛星だけでなく、HAPSやドローンなど、無線基地局を搭載できる空中浮遊物の技術の開発が進んでいる。大気による減衰や建物の遮蔽などを抑えることができる上空に基地局を配置することで、無線通信の更なる効率的な活用を目指している。
全光通信 光のままでのルーチングなども可能とする全光通信は、光信号と電気信号との変換エネルギーの消費を抑えることができること、また無線と比べて高速・長距離、電磁誘導ノイズ耐性、傍聴耐性など、無線の弱点を補う機能性が期待できる。このため、5Gと比較し数十倍のエネルギー消費が懸念される6Gにおける、省電力化課題の解決が期待されている。
量子暗号・通信 量子力学の原理を活用して通信内容を秘匿化する量子暗号技術と、量子暗号化されたデータによる光通信技術を指す。量子暗号は、光の量子状態が観測によって歪むことを利用することで盗聴の有無を判別し、盗聴されていない公開鍵を用いて復号化する。光の量子状態は観測以外の要因でも歪むことから、量子状態の安定した伝送が課題となっている。
時空間同期 無線通信技術に高精度時刻同期を持ち込むことで、送受信端間の遅延時間を待ち合わせ時間などを設けず確実に保証する技術である。6Gでは、低遅延かつ送受信時間の揺らぎを保証したサービス提供の切り札として、安価で超高精度の時空間同期の導入が期待されている。
エッジコンピューティング(EC) ECは、IoTなどで情報発生源の近くに信号処理部を配置して有効情報だけを送信することや、端末の移動やトラヒック流量の変化などに対応し最適化する役割も期待されている。6Gでは、ネットワークを構成する基盤、提供機能、利用産業などの多様化が更に進められることから、エッジでの更なる最適な組み合わせを実現するECが期待されている。
6G
無線
統合
技術
MIMO・ビームフォーミング MIMO技術は、4G時代から複数の送信アンテナから同時にデータを送信しそのデータを複数の受信アンテナで受信する技術として用いられており、5Gではミリ波への対応やビーム制御技術が加えられて、進化している。6Gでは、離れたアンテナや衛星通信など更に高度な運用が必要とされている。
6G
高度化
技術
AI技術 AIの学習性能は日進月歩で進化しており、自然言語を対象とした領域も含め、AI技術が適用可能な利用形態が拡大してきている。一方、6Gネットワークは、ネットワーク構成要素の多様化に加え、医療・交通、農業など価値観の異なるサービスの提供が期待され、そのための最適なネットワーク運用を自動化するAI技術の活用が期待されている。
xR技術 VR/AR/MRなどのリアリティ映像の技術は、空間同士をインタラクティブに繋ぐ究極のHMI技術として注目されている。6Gでは、超低遅延での遅延保証や遅延レベルの選択など地点間の距離を克服する目標が掲げられており、それらの機能を用いることで、空間をつなぐ三次元ホモグラフィックライク通信の実現が期待されている。

(2)国別の全体動向

分析対象とした約2万件の6G中核技術の特許について、国別(日米欧中韓)の出願比率を図 1に示します。
中国企業が約40%で最も多く、次いで、米国企業の約35%です。
日本企業は3番目で約10%、4位は欧州企業で、約9%となっています。

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図 1 6G中核技術の国別出願比率

(3) 6G技術分野の勢力分析

3つの技術分野、6G構成要素技術、6G無線統合技術、及び6G高度化技術について、それぞれの上位20位までの出願人を表 2、表 3に示します。
6G構成要素技術(表 2の左)は、テラヘルツ波、衛星統合通信、全光通信、量子暗号・通信、時空間同期、エッジコンピューティングを対象としており、上位20位の内、半数強の11社が中国企業で、米国企業が6社、日欧韓の企業が各1社となっています。
日本企業は、NTT(NTTドコモを含む)です。
6G無線統合技術(表 2の右)は、5Gから連続している技術分野で、MIMO・ビームフォーミングを対象としており、上位20位の内、米国企業が7社、日本企業、中国企業が各4社、欧州企業、韓国企業が各2社、その他が1社となっています。
日本企業は、NTT(NTTドコモを含む)、ソニーグループ、パナソニック、三菱電機です。
6G高度化技術(表 3)は、AI技術、xR技術を対象としており、上位20位の内、米国企業、中国企業が各8社、欧州企業、韓国企業が各2社となっています。
日本企業は、上位20社に入っておらず、ソニーグループが21位となっています。

表 2 6G技術分野ごとの上位出願人(その1)

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表 3 6G技術分野ごとの上位出願人(その2)

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(4) 6G中核技術別の勢力分析

主要国(日米欧中韓)の勢力比較として、6G中核技術毎に上位20位までの出願人数、及び上位3位の出願人を表 4に示します。また、各技術の上位20位までの日本企業の出願人を合わせて示します。
上位20位までの出願人を国別にみると、中国は、6項目の6G技術で、1位となっています。次いで、米国が5項目で1位となっています(2項目で同数1位)。
日本企業の上位出願人が多い6G技術は、テラヘルツ波が7社、全光通信5社、MIMO・ビームフォーミングが4社と続いています。
テラヘルツ波には、種々の得意分野を持つ、パイオニア、キャノン、浜松フォトニクス、ローム、オリンパス、三菱電機、JFEスチールが入っており、日本にとって有望な領域と考えられます。
また、全光通信では、NTTは2位と住友電気工業が8位と2社が10位以内に入っており、上位20位内の企業数、出願件数からも、日本の注力度合いが高いことが読み取れます。
米国企業の上位出願人が多い6G技術は、エッジコンピューティング、AI技術、MIMO・ビームフォーミング、全光通信、xR技術、量子暗号・通信となっています。
特に、エッジコンピューティング、AI技術、xR技術では、1位、2位を米国企業が占めており、これらの技術領域は米国企業が主導していると見て取れます。いずれもソフトウェア系の技術です。
欧州企業の上位出願人が多い6G技術は、時空間同期、衛星統合通信となっています。MIMO・ビームフォーミングはエリクソンが2位となっています。
中国企業は、国別の上位20位までの出願人数では、9項目の6G技術の全てで2位以上となっています。特に、時空間同期、衛星統合通信、量子暗号・通信、xR技術、AI技術、テラヘルツ波、全光通信では、上位20者中1/3以上の出願人数を占めています。また、テラヘルツ波、衛星統合通信、全光通信、量子暗号・通信、時空間同期では、トップ3の内2者以上が中国企業で、これらの技術領域は中国企業が注力していると見て取れます。いずれも、ハードウェア系の技術です。
韓国企業の上位出願人が比較的多い6G技術は、MIMO・ビームフォーミング、AI技術、xR技術となっています。

表 4 主要国の勢力比較と上位出願人

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(5) 日本の上位出願人

上位20位にいる日本の出願人を、表 4の右端列に示します。
NTT(NTTドコモを含む)は、3項目の技術、全光通信、MIMO・ビームフォーミング、xR技術が20位以内です。この内、全光通信は、世界で2位となっており、過去の実績も踏まえ注力度合いが覗えます。
ソニーは2項目で、MIMO・ビームフォーミング、xR技術です。xR技術は、ゲームで実績のあるソニーの強み技術です。
三菱電機も2項目で、テラヘルツ波、MIMO・ビームフォーミング、キヤノンも2項目で、テラヘルツ波、全光通信です。
残りの出願人は1技術で、各出願人の実績のある領域の技術となっています。

(6)6G中核技術の状況分析

調査対象とした9項目の6G中核技術について、横軸に特許ファミリー件数、縦軸に上位3者のシェア比率をとった相関を図 2に示します。
MIMO・ビームフォーミングと衛星統合通信の特許は、上位3者のシェアが35%を超え、最も高くなっています。これらは、既に目指すべき方向性が認識され、方式的に技術を完備させる観点から、特定の企業が網羅的に特許出願を行っている可能性が考えられます。
上述以外の技術は、上位3者のシェアは25%未満となっています。
これらは、全光通信のように、有線・無線連携の新たな枠組みの議論が必要な技術、AI技術のように適用領域が多岐に渡る技術、時空間同期のように時間と距離を克服する新たな枠組みの議論が必要な技術、など、方式として合意が取れる前段階で、これから勢力がどうなっていくか注視が必要な技術と考えられます。

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図 2 6G中核技術の特許ファミリー件数と上位3者のシェア

【提供サービス】

今回の調査では、下記のサービスをご提供いたします
(1) 6G技術特許母集団の詳細解析
(2) 5G,6Gに関する各種調査分析
個別要件は、末尾の問い合わせ先までご相談下さい

 

■サイバー創研 会社概要

(1)商号 :株式会社サイバー創研( http://www.cybersoken.com )
(2)代表者 :代表取締役社⻑ 佐藤 博彦
(3)本店所在地 :東京都品川区西五反田2-8-1五反田ファーストビル5階
(4)設⽴年⽉⽇ :2001年4⽉
(5)主な事業の内容:情報通信関連の以下の事業
1.調査研究事業
2.特許サービス事業
3.エンジニアリング事業
4.教育研修・出版事業
(6)資本⾦ :3,000万円

■本リリースに関するお問い合わせ

株式会社サイバー創研
特許調査分析部 5G必須宣⾔特許調査チーム
担当 : 中西健治
Tel : 03-3490-3186
Email: contacts@cybersoken.com

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